第16回聖家族の集い(No.110)

『大学を出て五年経っていました。その男のお父さんは建設会社の社長さんで、息子を独立させようと思って新しい会社を作ってあげました。最初のお客さまは、お父さんの昔からの親友で、金持ちの銀行家でした。彼は設計図を若旦那に渡し、「君に良い家を造ってもらいたいのです。予算はかまいません。最高の材料を使ってほしい」と頼みました。ところがその息子はお父さんの親友を、ねぎを背負ってきたカモにしました。どうせ銀行家は建設のことはわかりはしないだろうと思って、彼は安物の材料ばかり使用しました。とても便利な新建材があるので、上等の家に見える建物が出来上がりました。建設中、銀行家は信用して監督もせず、まかせっぱなしでした。言うまでもなく請求書は高額でした。お父さんの親友は、家の鍵をもらい次第、その場で小切手を切りました。それに家の鍵をのせて、建物を見にも行かずに、若い旦那さんに「はい、どうぞ、この家は君にあげるプレゼントです。いつまでもその家で幸福な生活を送ってください」と言いました。』

 “こんなばかげた話があるわけない”と皆さんも思うでしょう。確かにそれは単に作られたたとえ話です。それにしてもこの物語から学ぶことがあるのではないかと思います。

自分のキリスト者としての人生、イエス-キリストの共同体を築き上げるために、私達は神から知恵と自由を与えられ、イエス-キリストとその福音を委ねられました。ところが、物語の“息子”と違って、それは私達の住まいを築き上げるためだ、とわかっていながらも、私達は値切って値切って、安い材料を使ってしまっているのではないでしょうか。言い換えれば、その“住まい”を築き上げるために、必要な努力を怠っているのではないかということです。

10月17日、第16回聖家族の集いを迎えます。それに協力し、それに参加することによって、主日の感謝の祭儀に、私達が口で宣言していることは実現することを祈ります。私達は行事をこなす意味ではなく、兄弟として交わり、私達の共同体はイエス-キリストの“住まい”となることによって、神の国の到来が告げ知らされること、今年の聖家族の集いもそのひとときとなることを期待しながら、皆さんをお待ちしています。
2004年10月
ベリオン・ルイ神父

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